Default Mode Network

(デフォルトモードネットワーク:DMN) 

Default Mode NetworkはVielightデバイスのターゲットエリアです。

重要な3つの脳内ネットワーク

脳は前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉など様々な領域に分かれており、脳の最高中枢である「前頭前野」や視覚情報に重要な「視覚野」、記憶をつかさどる「海馬」、自律神経系など生命を支える上で重要な「視床下部」などはよくご存じかと思います。

 脳内部位の働きは報告されていますが、多くの脳活動では1対1ではなく、多対多で働き、各部位が連携して働く「ネットワーク」を形成し連携しながら、仕事や食事、睡眠などのタスクを日々こなしています。

その中でも『DMN:デフォルトモードネットワーク』はタスクや仕事などを行っていない時に活動が増える脳内ネットワークです。何もしていない時や、ボーっとしている時に活動が増える、車の「アイドリング状態」に近い脳活動と言われています。
計画や意思決定、会話などの活動においてメインネットワークである『Central Executive Network: 中央実行ネットワーク』とは、片方の活動が増えるともう片方の活動が抑えられるシーソーのような状態で動いています。『CEN』が外向きのネットワークだとすれば、『DMN』は内向きのネットワークと言えます。

この2つのネットワークの切り替えを『Salience Network:セイリエンスネットワーク』が担っています。

 常に活動している脳内 


  『DMN:デフォルトモードネットワーク』は主に「内側前頭前野」「海馬」「後帯状皮質」などで構成されていて、何もしていない時に活動が増えるネットワークと言われています。つまり、会話や読書、勉強、仕事などをしている時には、活動が抑えられていて、安静時に活動が増える、一見すると矛盾しているようですが、この時に使用されるエネルギーは、ほかのネットワーク活動時よりも多いとも言われています。

 では「ボーっと」している時に脳内はどのような状態になっているのでしょうか?


実はDMNの活動が上昇している時には、記憶の定着記憶の処理自己認識や内省的な考え将来への考えなどの情報処理が行われており、何もしていない時ほど脳内は忙しい状態となっていることがわかってきました。


DMNが活発になることで、個人の経験や思考が自己関連のコンセプトと結びつき、それが長期記憶に蓄積される助けとなります。

たとえば、特定の場所や出来事に関連する感情や意味が記憶として深く根付く際、DMNの働きが重要な役割を果たします。

つまり、何も考えずに椅子に座って「ボーっと」しているように見えても脳内は絶えず動いていることが明らかとなってきました。

 Mind-Wandering

『DMN』の働きと重要性は上述の通りですが、シンプルに『DMN』の活動を増やして脳を活性化させればいいと思うかもしれませんが、そうでもありません。

『DMN』はタスクなどをこなす時のネットワーク『CEN』の活動が上昇している時より、20倍ものエネルギーを使用していると言われています。活動量が上昇すればその分必要なエネルギーは多くなりますので、心身ともに疲れていきます。²

また、『DMN』は自己認識や内省的な考えと関連がありますので、過活動になると、自分の事を考えすぎる=ネガティブ思考に陥ってしまう事に繋がり、うつ病やADHDなどとも関連があるのではないかと言われています。

これを「マインドワンダリング=心の彷徨い」と呼び、心が過去の記憶や現在、未来などを行き来してしまう事で「心ここにあらず」状態になってしまい、現在やるべき事に集中できないという面もあります。³⁴⁵⁶

 「マインドワンダリング」は悪い働きだけではなく、良い働きもあります。記憶の取捨選択やひらめきなどの創造性とも関係があると言われていて、イメージとしては床に散らばっている本を本棚に整理していき(記憶の整理)、必要に応じて本を出し(記憶の引出)、それを参考にして新たな本を書いたり(創造)します。

お風呂に入っている時や皿洗いなどの家事をしている時など、意外なタイミングで新しいアイデアが生まれるのもこのマインドワンダリングの働きです。⁴ 

DMNに関する研究

   

『DMN』は、何もしていない時に活動が増える事から研究が難しく難航していましたが、技術の発達と共にfMRI(磁気共鳴機能画像法)などで研究が盛んに行われるようになってきました。

 過去の研究では、うつ病患者ではDMNの機能的結合性の異常な増加、CENの機能が弱い事などが分かっています。⁴

 ADHD(注意欠如・多動症)の人ではDMNの機能的結合が弱く、DMNとCENの切り替えもコントロール群に比べ上手くいってない事も報告されています。⁵⁶⁷

アルツハイマー型認知症患者ではDMN領域内の機能的結合が低下している事も明らかとなっています。これは自己認識・記憶処理に関わる作業においてのDMNの重要性を示しています。⁸

 また、最近の研究ではSNS「TikTok」とDMNの関係を調べたものもあります。結果では「TikTok」ユーザーの5.9%がインターネット中毒などの使用に問題を抱えており、(視聴履歴に基づく)”おすすめクリップ”と”一般クリップ”の視聴を比較した結果、”おすすめクリップ”の視聴が”一般クリップ”に比べ、ドーパミンなど、報酬系の重要な領域である「腹側被蓋野」の動きを活性化させていた事が明らかとなりました。

結果として、「TikTok」の視聴はDMNの結合を低下させ、特に自己抑制、自己統制に関係があるとされているDMN内の「楔前野」と「帯状皮質」の結合が低下していたため、「TikTok」やSNSの使用に問題を抱える結果に繋がってしまう事も示唆されていました。⁹